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※この記事は2015年当時を回想して、2017年7月に書かれたものです。可能な限り当時の手帳・メモ・書類などを参照し、正確な日付・数字を記録するよう心がけています。


2015年7月に37歳で
乳がんで左乳房温存手術を受けました。
【乳がん体験回想】では、当時のことを時系列で記載していきます。

前回までの記事:
【乳がん体験回想1】しこり発見
【乳がん体験回想2】近所の検査施設で乳がん検診し、その場で紹介状を渡される
【乳がん体験回想3】行きつけの精神科で乳腺外科クリニックを紹介される
【乳がん体験回想4】乳腺外科かかりつけ医となるY先生と出会う

****************

ある日、左乳房のビー玉大のしこりに気付いた私は、乳腺外科の診療を受けようとしたものの、乳腺外科のある近所の病院の予約がことごとく取れず、途方に暮れることにorz
以前から通っているメンタルクリニックのかかりつけ医に愚痴ったところ、なんと知り合いの乳腺外科医Y先生のクリニックを教えてくれました。
都内のY先生のクリニックで、診察とエコー検査を受け、さらに穿刺吸引細胞診という難しい名前の検査を受けた私。

1週間後にまた検査結果を聞きに来るように言われた私はクリニックを後にしました。

向かうは、都内の実家です。


実家には、60代前半のと、独身30代社会人のが暮らしています。

父はすでに故人。
この2年前に、とある進行ガンで闘病生活の末、60代で亡くなっています。
(乳がんではない。脱線ですが、世の中には男性の乳がん患者さんもいらっしゃいます)

私と実家とは、私が20代の頃、色々あって断絶状態だったりしたこともありますが、
父が亡くなる1年前くらいから関係が回復し、この時点では割と良好な感じに戻っていました。
(この辺については色々と語るべきことがあるが、いまは置いておきます)

私が都内で用事(転職活動とかw)した帰りに、ふらりと実家に夕飯を食べに立ち寄ることも珍しくなかったため、この日も母は、夕食時に現れた私を何の疑いもなく迎え入れてくれました。弟は仕事で、この日は実家にいませんでした。

女二人で夕飯をつつきながら、私の仕事の愚痴やら、実家のご近所さんの噂話やら、世間のニュースについての感想やら、とりとめもない会話を交わします。

そして夕飯が終わり、片付けが済んだ頃、いよいよ私は本題を切り出すことにしました。

テレビの前で座ってくつろぎモードに入ろうとしていた母の正面に、私は座ります。

「お母さん、ちょっと胸を触ってほしいんだけど」
「?」

事態が呑み込めない母の手をつかんで、私は半ば無理やり左乳房のしこりに触れさせます。

「!!(@@;」
母が小さい悲鳴を上げて手をひっこめました。
本能的にヤバイものが娘の身体の中にある、ということが分かったようでした。

時間を置くと、母がパニックを起こしそうだったので、私は手短に、
左乳房にしこりを発見したので、週末に検査機関に行ったこと、
検査機関で、すぐに専門医の診察を受けるよう強く勧められたこと、
ついさきほど乳腺外科医のところで本格的な乳がんの検査を受けたこと、
検査結果が分かるのは1週間後だということを説明しました。

唐突すぎる娘の乳がん疑惑告白に、母はだいぶ混乱しているようでした。

が、とりあえず、
「うちの家系もお父さんの家系も、乳がんや婦人科のがんになった女性はいないから大丈夫!」
「確かにお父さんはガンで亡くなったし、おじさんたちの中にはガン経験者もいるけど、親戚で女の人でガンになった人はいないから大丈夫!」
「動くしこりは良性って聞いたことがあるし、今、しこりは動いた気がするから、きっと良性!」
…というような理屈を並べて、ひとまず自分と私を安心させようとしていました。

ちなみに、これら全部、間違いです。

遺伝性の乳がんと言うものは確かにあります。しかし逆に、親戚に乳がん患者がいないからと言って、その人が乳がんにならないわけではありません。
乳がんは、女性のライフスタイルの変化(いい悪いではありません)に大きく発病要因があるものなので、一昔前に現役世代だった親戚女性たちが罹患しなかったからと言って、現代を生きる我々の保証にはならないのです。

「動くしこりは乳がんでない」も嘘です。
詳しくは、例えば下記あたりを:
https://nyuugan-plaza.com/question/ugoku-shikori-2

「ある程度進行した乳がんは動きにくくなる」(裏側の大胸筋膜に浸潤or 接着するから)が、
逆にいうと「早期乳癌は(良性腫瘍と同様に)良く動く」のだそうです。

そして私のケースで言うと、結果としてステージ1の早期乳がんであり、とてもよく動くしこりでした。
みなさん、乳房や脇にしこりなどの怪しい症状があったら、自己判断せず、すぐに乳腺外科を受診してください。くれぐれも「次の乳がん検診まで待とう」とか思わないでください。

ともあれ、乳がんの話を誰にどのタイミングで伝えるか、というのは悩みどころの一つではあります。

既婚者なら、まずは旦那さんと相談した上で、なのかもしれませんが、
独身者で、特定のパートナーもいないような場合は、まずは早い段階で実家に知らせることになるのだと思います。

というのも検査・治療が進んでいくと、例えば手術のとき、親族の同意や手術時の立ち合い人が必要(万一の時のために、待合室で待っていてもらう)だったりして、どうしても誰かの手を借りなければならない場面が出てくるからです。

さまざまな事情で実家や親戚の助力が得られない場合は、信頼できる友人などに頼んで、治療期間の支援を仰げるようにしておいたほうがいいです。
初期であってもがん治療を、周囲のだれにも告げずにすべて独力で乗り切るのは、やはり精神的にも物理的にも厳しいものがあります。

必要な支援を求めることは、恥でもワガママでも負けでも不名誉でもありません。自分の尊厳を守る、正当な権利です。
そして権利を行使するには、ちょっとした勇気も必要なのです。

人に助けてもらうことに抵抗がある人は、病気になったことで「今は『周囲に必要な助けを求める度量』『ものの頼み方』を身に着ける練習期間なのだ」と考えると、少し気が楽になるかもしれません。
だって人間いずれ超高齢者になったりしようものなら、誰かの手を借りなければならなくなったりもするのですから。

周囲の支援が必要なときは、手助けを頼むちょっとした勇気、どうぞ出してみてください。

…というかんじで、母にとりあえず乳がん疑惑を伝えた私は、1週間後の検査結果を聞いた後また実家に寄ることを約束し、その日は隣県の自宅へ深夜に戻っていったのでありました。

NEXT→【乳がん体験回想6】検査結果発表~乳がん確定
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なんちゃってSE。社畜です…
趣味:
まったり週末ランニング
自己紹介:
学生時代にお勉強させられた英語とかドイツ語とかを活用して、欧州サッカーとかジャパニメーションとか海外オークションとかで、貴重な余暇を非生産的につぶします。
時折走り、まれに勉強します。
2015年夏、乳がん(ステージ1)発症しました。
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