【乳がん体験回想１】しこり発見

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2015年7月に乳がんで左乳房温存手術を受けました。
【乳がん体験回想】では、当時のことを時系列で記載していきます。

※この記事は2015年当時を回想して、2017年4月に書かれたものです。可能な限り当時の手帳・メモ・書類などを参照し、正確な日付・数字を記録するよう心がけています。

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それは乳がんの痛みではなかったのでしょう。
しかし2015年6月のその月曜日の朝、私は左乳房に痛みを感じたのでした。

システム開発会社に勤める私は、すでに2年ほどその大型プロジェクトで開発要員として社畜な日々を送っていました。
25歳でこの業界に入って、早13年目。
深夜残業だの休日出勤だの、そんなものには慣れっこの中堅どころとして、それなりの戦果を挙げて突き進む毎日でした。

一方で私の年齢も30代後半に入り、体力は正直、落ち目を迎えていました。
加えて、当時そのプロジェクトは危機的状況にあり、職場全体が殺伐とした雰囲気の中にありました。
これらの影響か、私は春先にメンタル的に不調に陥り、職場に内緒でメンタルクリニックに通って軽い安定剤を処方してもらいながら、一日12時間、週6日間の労働を、数か月にわたって続けているところでした。

そんな折。

チームリーダー（以下、カミナリ様）が、メンバーの報告に対して雷鳴のごとき怒声を飛ばすのが恒例となっている、非常に殺伐とした定例ミーティングの最中、ノートPCを持ち込んで自分の報告の番に備えていた私の左胸が、張るように痛みました。

「生理もまだ先なのに、なんで？　まさか乳腺炎とかじゃないよね。うっとおしいなあ…病院に行くヒマとかないんだからさ」

このときの私の頭は「社畜たるもの、仕事の妨げとなるような病気をするなど、言語道断」というモードだったため、とにかく「なんでもない」ことを確認する必要がありました。

カミナリ様の怒声ミーティングが無事？終了し、女子トイレの個室に駆け込む私。

Aカップのブラジャーの中に右手を突っ込んで、先ほど痛みを感じた左乳房の外側を触ります。
少し張っているような気はするものの、基本、いつも通り。Aカップなりに弾力ある、私の胸です。

「だよねー」

安堵のため息をつきつつ、左乳房の内側のほうも触っていきます。

「大体、クソ丈夫な私が病気なんかするわけ…」

そのとき。

何かが私の指先に触れました。

柔らかいスクイーズボールに埋め込まれた、ビー玉大の金属球のような…

「！！」

それは、2年ほど前に、市の乳がん検診会場にあった「乳がんの模型」の感触そのものでした。

「こんなもん、おっぱいの中にできたら、ビックリするわー」と思って触ったあの形状、あの重量感と同じものが、今、自分の左乳房の中に居座っているのです。

念のため、右側も触れます。
右乳房も、Ａカップなりに弾力のあるいつもの胸の感触です。妙なビー玉状の存在はありません。

落ち着いて左乳房に戻ります。

…居る。やっぱり左胸に、ビー玉大の何かが、居る…！

「これは見過ごしいいものではない…」

10数年に及ぶシステム運用保守＆炎上プロジェクトで鍛えた「トラブルセンサー」とでもいうべき直感が、この予兆の実態を、できるだけ素早く見極めろと警告します。

清潔で明るい女子トイレの個室の中で、私は次に取る行動を決めました。

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